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「ママ鉄」急増中…子に付き合い自分もとりこに(読売新聞)

 電車好きの我が子に付き合ううちに、自分もとりこになってしまう「ママ鉄」が増えている。

 人気スポットに電車ウオッチングに出かけたり、目当ての電車に乗ってみたり。個性あふれる電車の“顔”が魅力だそうで、「イケメン」「アイドル系」などと呼んで楽しんでいる。

 「ほら、700系が来たよ!」。21日午後、東京・JR品川駅の東海道新幹線上りホームで、世田谷区の水野美夏さん(38)が、抱っこしていた長男の優真(ゆうま)君(2)に声をかけた。

 先頭車両がくちばしのような形の700系は、優真君のお気に入り。「喜ぶ息子の笑顔に癒やされる」という水野さんだが、実は自分もかなり楽しんでいる様子。「鼻が長くてユニークな顔。何とも言えない重量感がありますね」

 次々と到着する新幹線を30分ほど眺めた後、最新型N700系に乗り込み、東京駅までわずか6分間の“旅”を満喫した。

 水野さんが電車に熱中し始めたのは昨年秋。山手線に初めて乗った優真君の喜ぶ顔が忘れられず、鉄道図鑑を買って一緒に見たり、山手線を一周したりしているうちに、「電車の顔は個性的」と思うようになった。

 特にひかれたのが、2月末で東海道新幹線から引退した500系。すっきりとした面長の先頭車両を「イケメン」と評し、優真君を連れ、新横浜から東京まで乗車したほか、多摩川や相模川の鉄橋を走る姿を見に出かけた。引退前日は、有楽町駅前の東京交通会館のテラスで見送った。「今までありがとう」と、涙が止まらなかったという。

 「江ノ電のコトコト走る姿に『頑張れ』と応援したくなる」と話す横浜市港北区の松元玲さん(35)もママ鉄だ。今年初め、自宅近くの日吉駅で弓侑(ゆう)君(3)と東急電鉄の車両を見ていた際、同じように電車に熱い視線を送る母子に出会った。母親同士が意気投合し、人気スポットを一緒に訪れる仲になった。

 だが、子連れでは、カメラを抱えた熱いマニアが殺到するホームなどに並ぶのは大変だ。そんなママ鉄たちの参考書が、昨年7月に出版された「子鉄&ママ鉄の電車ウオッチングガイド東京版」。電車の姿や走行音を心おきなく楽しめる公園や飲食店、車両基地を見下ろせる陸橋など約50か所が掲載されている。特に、「トイレが近い」「遊具も併設」など、子連れが安心できる情報が充実している。

 著者の世田谷区の棚沢明子さん(36)もママ鉄。ガイドは、長男(6)と1年半かけて首都圏70か所以上を巡って作ったという。「子どもの笑顔が見られるし、育児のストレス発散にもなる。珍しい車両を見て、キャーと声を上げている様子は芸能人に出会った時のようですね」

 出版と同時に始めたインターネットのママ鉄コミュニティーの登録者は、650人に上る。「成田エクスプレスはイケメン系」「貨車を引く機関車EF64は、バリバリ頑張るサラリーマン」――。こんな書き込みのほか、「機関車ツアー」といったイベントの呼びかけも。

 「不況でも、お弁当を持っていけば、運賃1000円ほどで楽しめる」。棚沢さんは電車ウオッチングの魅力をこう説明している。

 奥野卓司・関西学院大教授(情報人類学)の話「幼い男の子は一度は鉄道に興味を持つ。それに応えようとする母親も、ネットで簡単に大量の情報を得ることができるようになり、ママ鉄を増やしているのでは。デジタルカメラ写真も簡単にブログに載せられ、育児で忙しくても母親の創造欲を満たしてくれる」(北浦義弘)

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